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知識ゼロからの金投資②:金貨

金貨への投資は、資産分散やインフレヘッジ手段として古くから重視されてきました。
金貨は主に「地金型金貨」「収集型金貨」に分かれ、それぞれ異なる特性を持ちます。
ここでは投資対象としてみた場合の金貨について説明します。


地金型金貨と収集型金貨

1-1.地金型金貨の特徴

地金型金貨は、主に金の純度と重量に基づいて価値が決まる金貨です。
オーストリアのウィーン金貨ハーモニーやカナダのメイプルリーフ金貨などが有名です。
含有する金にプレミア価値を上乗せする形で販売され、金価格に連動して取引されるため金投資の手段の一つとして知られています。地金型金貨の多くは発行されてからまだ新しく、十分な数量が出回っているため、希少価値が付かないものも多く、あくまで金価格の上昇を期待して保有する金貨となっています。

1-2.価値の決定要因

地金型金貨は99.99%の純金か、K22で作られています。
金の市場価格に直接連動し、金価格が上昇すればその価値も上がります。地金型金貨は主に金の価値に基づいており、投資目的での購入が一般的です。地金型金貨は金地金と同じく、金相場によって価格が変動します。そのため、高くなったタイミングで現金化し、利益を得ることが可能です。
地金型金貨を購入する際は、硬貨に鋳造(ちゅうぞう)している分、金地金より価格が高くなることは念頭に置いておく必要があります。「鋳造」は金属を熱で溶かして液体にしたあと、型に流して冷やし固める加工方法のことです。また、収集型金貨と異なり希少性は低く、その価値は素材となる金の価値に従います。

1-3.代表的な投資用金貨

主な投資用金貨には次のようなものがあります。

1.メイプルリーフ金貨

純度:K24(99.99%)
重量:31.1035グラム
額面:50カナダドル

「メイプルリーフ金貨」は、カナダ王室造幣局が発行する金貨です。
表面にはイギリスの女王エリザベス2世の横顔が、裏面にはカナダを象徴する楓の葉がデザインされています。メイプルリーフ金貨は1979年から現在に至るまで毎年発行され、世界一の流通量を誇るため、金貨といえばメイプルリーフ金貨をイメージする方は多いと思います。金貨の純度が99.99%と品質も保証されているため、安心して購入できる金貨といえます。


2.ウィーン金貨ハーモニー

純度:K24(99.99%)
重量:31.1035グラム
額面:100ユーロ

「ウィーン金貨ハーモニー」は、オーストリア造幣局が発行している金貨です。
表面にはパイプオルガンがデザインされ、裏面にはバイオリンやハープ、ウィーンホルンなどの楽器がデザインされています。金貨の純度は99.99%となっており、品質と重量はオーストリア政府によって保証されています。

3.イーグル金貨

純度:K22(91.67%)
重量:33.93g
額面:50ドル

「イーグル金貨」は、アメリカ合衆国造幣局が発行している金貨です。
表面には自由の女神がデザインされ、裏面に国鳥の鷲(イーグル)がデザインされています。
イーグル金貨の純度はK22(91.67%)です。これは銀や銅を混ぜることで硬度を上げて、傷がつかないようにしているためです。材質は純金ではありませんが、表示通りの量の金が含まれているため、イーグル金貨1枚の価値は純金の金貨1枚と同じであり、投資用金貨としての価値に問題はありません。

 

また、これらの他にもブリタニア金貨、カンガルー金貨、パンダ金貨なども地金型金貨として有名です。この3つは、モチーフが毎年異なるデザインで発行されているため、コレクションとしての人気もあります。

2-1.収集型金貨

収集型金貨とは、記念硬貨などの形で発行される金貨の種類です。コレクターの需要や歴史的価値、デザインの美しさなどに基づいて価値が決まります。これらの金貨は、純金である必要はありません。金を含有していること以外に一定の希少性を持ち、金相場に価値が連動する性質はないためです。

日本では、天皇陛下御在位60年記念 10万円金貨や、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念10,000円金貨幣などがこれに当たります。
これらは日本国政府がその価値を保証しており、実際に含有している金の量と金価格の変動に関わらず指定された額面で取引ができるため、通貨型金貨と呼ばれることもあります。しかし、売却すれば希少性によって額面に加えてプレミアが付くことがあるため、分類としては収集型金貨に含まれます。

2-2.収集型金貨の価値

収集型金貨の価格は主に次の要因を考慮して決定されます。

歴史的意義 :発行年、時代背景
希少性   :現存数、発行枚数(未使用品はプレミアム加算)
保存状態  :鑑定機関によるグレード(70満点評価)
デザイン  :デザイナーの知名度、芸術性
取引市場  :オークション専門サイト、直接取引
その他の要因:コレクター需要の変動、同種金貨の新規発見、鑑定機関の評価基準変更、等

2-3.代表的な収集型金貨

1.ウナとライオン(Una and the Lion)

純度:K22(91.6%)
重量:39.94グラム
額面:5ポンド(£)

「ウナとライオン」のウナは16世紀の英国の叙事詩『妖精の女王』の登場人物です。
19世紀はヴィクトリア女王(在位1837~1901年)の比喩として、ウナを表現した彫刻や硬貨が盛んに作られましたが、その時代の先駆けとなったデザインと言えます。
ヴィクトリア女王の即位を記念し、1839年にコレクター向けに400枚が販売されました。

英国貨幣史に名を刻んだ王立造幣局(ロイヤルミント)の公式主任彫刻師ウィリアム・ワイオンが手掛けたコインの代表作とも言われ、世界で最も美しい金貨として愛されています。
ウナとライオンの歴代最高落札額は、鑑定機関のNGCにおいてPF66のグレードを記録した金貨であり、1億5,480万円の価格で落札されました。また、2020年の日本のコインオークションでは3,200万円で落札されています。

2.ダブルイーグル金貨

重量:33.436g
純度:K21.6(90.0%)
額面:20ドル($)

「ダブルイーグル金貨」はアメリカのコイン史上で最も美しいと言われる有名な大型金貨です。
26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトが、彫刻家のオーガスタス・セント=ゴーデンスに依頼して誕生しました。1933年の大恐慌に伴う経済対策で、政府が金を回収する法律を制定し、ほとんどが溶解処分されたため、現存数が非常に少ない貴重な金貨です。
2021年に、競売大手サザビーズのオークションで、1933年発行のダブルイーグル金貨が1887万ドル(約20億7000万円)で落札され、金貨史上最高額を記録しました。

3.EID MAR(イドゥス・マルス)

 

「EID MAR(イドゥス・マルス)」は、当時のローマ歴で「3月15日(マルス月のイドゥス)」を意味し、共和政ローマ末期の将軍ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)が暗殺された紀元前44年3月15日のことを指します。
この硬貨は、カエサルの暗殺後にマルクス・ブルートゥス(ブルータス)が発行した金貨で、デザインにはブルートゥスの肖像と「自由の帽子」、そして2本の短剣が描かれています。これらはカエサル暗殺の象徴として用いられました。

現存する同金貨は3枚、同じデザインであるデナリウス銀貨は100枚と推定され、希少性、歴史的価値共に高く、2020年のオークションでは、324万ポンド(手数料を含めると約419万ドル=当時のレートで約4億5000万円相当)で落札されました。
しかし後に、オークションを主催した会社の社長が金貨の来歴詐称で逮捕(後に重窃盗罪他の容疑で再逮捕)され、「EID MAR」金貨の保有者(オークションでの落札者)は所有権を放棄し、その他の28個の美術品と共にギリシャへと返還されました。


まとめ

投資型金貨は、投資用に発行されている金貨であり、金価格に連動して価値が変動します。
比較的新しい金貨であるため希少価値がでることはあまりありません。
金貨にするには変形加工が必要なため、地金そのものを売買するよりもグラム単価でみると割高になります。ただ、管理がしやすく、少額から手軽に売買できることなどがメリットと言えます。

収集型金貨は、その金貨の存在そのものに価値があります。歴史的な価値が高く保存状態が良い場合、金貨1枚が数億円で取引されることがある一方、保存状態が悪いと急激に価値が落ちるため保管場所や方法に気を配る必要があります。
また、趣味的な収集であれば余り問題になりませんが、投資対象として考える場合、偽物も多く公正な売買が可能な市場が限られる点はデメリットと言えます。この理由により、資産運用を目的とする場合は地金型金貨を選ぶ方がおすすめです。

 

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